ガス自由化の乗り換え方法を手順で解説|比較・注意点も網羅

ただし、都市ガスとプロパンガスでは話がまるで違います。ここを混同すると「うちは乗り換えられない」と勘違いしたり、逆に高い工事費に驚いたりします。
この記事では、エネルギー取材歴11年の私が、自宅の乗り換えで実際に踏んだ手順をベースに、準備するもの・申し込み・工事・比較・注意点までを順番に解説します。まずは自分の家がどのタイプかを見極めるところから始めましょう。
ガスの自由化とは?乗り換えできる仕組みと前提条件

都市ガスの小売全面自由化は2017年4月1日に始まりました。これにより、これまで地域ごとに決まっていたガス会社以外とも、家庭で契約できるようになっています。
私が最初に驚いたのは、電気の自由化とほとんど同じ感覚で替えられる点でした。導管やメーターはそのまま、配送に来る人も基本は変わりません。
都市ガスの自由化でガス会社を選べるようになった

ガスの自由化とは?乗り換えできる仕組みと前提条件(詳細)
※以下、小見出しごとに整理します。

【都市ガスの自由化でガス会社を選べるようになった】自由化前は、地域ごとに決められた事業者だけが供給していました。自由化後は複数の事業者から選べます。対象は家庭向けの都市ガス小売です。
なお、家庭を守るための「経過措置料金規制」が自由化と同時に導入されています。いきなり料金が野放しになったわけではない、という点は安心材料です。
【賃貸物件・集合住宅で乗り換えできるかの確認方法】賃貸でも、ガス契約者が自分(入居者)なら原則として乗り換えられます。検針票が自分宛てに届いているかが、まず最初の判断材料です。
ただし、集合住宅で管理会社が一括契約しているケースや、設備が特定会社に紐づいているケースは別です。私が取材した例でも「建物まるごとの契約だったので個別には替えられなかった」という人がいました。迷ったら大家・管理会社に「個別にガス会社を変更してよいか」を一度確認してください。
【プロパンガスと都市ガスで乗り換えの考え方が違う】ここが最大の落とし穴です。LPガス(プロパンガス)は都市ガス自由化の対象外で、もともと自由料金です。
乗り換え前に準備するもの・確認すること

所要時間は10分ほど。用意するのは検針票(またはWEB明細)だけです。難易度は低めで、ここさえ押さえれば申し込みでつまずきません。
【契約中のガス会社のお客さま番号と供給地点特定番号】申し込み時には「お客さま番号」と「供給地点特定番号」が必要です。どちらも検針票やWEB明細に記載されています。
供給地点特定番号は住所ごとに割り振られた番号です。引っ越し直後で検針票が手元にない場合は、現在のガス会社に電話すれば教えてもらえます。ここまで控えられていれば準備はほぼ完了です。
【現在の契約内容とガスの使用状況の確認】次に、いまのプラン名と直近の使用量(㎥)を確認します。検針票の使用量を、できれば1年分メモしておくと比較が正確になります。
私の実感として、冬場の使用量が多い家ほど乗り換え効果が出やすいです。夏だけ見て判断すると、年間の節約額を見誤ります。
【解約手続きは原則不要・違約金の有無を確認】都市ガス同士の切り替えなら、いまのガス会社への解約連絡は切り替え先がやってくれるのが一般的です。自分で電話する必要はありません。
ただし、契約期間の縛りや解約金が設定されているプランもあります。特にセット割や長期割引に入っている場合は、申し込み前に約款で違約金の有無を確認しておきましょう。
都市ガス会社の乗り換え方法【手順】
所要時間は申し込み自体が15分前後。必要なのは検針票とネット環境(または電話)だけです。即日切り替えにはならず、切り替え完了までには日数がかかる点を先に頭に入れておいてください。

【手順1 料金シミュレーションで料金を確認する】まず切り替え先候補のサイトで料金シミュレーションを行います。郵便番号と毎月の使用量(または料金)を入れるだけです。
ここで「年間でいくら下がるか」を必ず確認します。月数百円の差でも、12カ月で見ると数千円単位になります。シミュレーション結果の金額が出ていれば、この手順はクリアです。
うまく金額が出ないときは、使用量の入力単位(㎥か円か)を間違えていることが多いです。検針票の表記に合わせ直してください。
【手順2 ネットや電話で申し込む】切り替えはネットか電話で完結します。フォームにお客さま番号・供給地点特定番号・住所・支払い情報を入力します。
このとき、いまのガス会社へ自分で解約電話をしないこと。二重に動くと混乱します。申し込み完了メールが届けば、この段階は正しく進んでいます。
【手順3 契約成立と適用開始時期を確認する】申し込み後、切り替え先から契約成立の連絡と「いつから新料金が適用されるか」の案内が来ます。多くは次回検針日からの切り替えです。
開始日が書かれた書面(またはマイページ表示)を確認できたら完了です。ここまでくれば、あとは待つだけで自動的に切り替わります。
【乗り換え完了までの期間とスケジュールの目安】切り替えにかかる日数は、契約内容や手続き状況で変わります。自由化後も即日ではありません。
私の自宅の場合は、申し込みから切り替えまで検針1サイクル分(おおむね1カ月前後)かかりました。引っ越しシーズンは込み合うので、余裕を持って動くのが正解です。
プロパンガスから都市ガスへの乗り換え方法【手順】
こちらは都市ガス同士の切り替えと違い、配管工事が前提になります。所要時間は数日〜数週間。難易度は高めで、見積もりと日程調整が肝心です。

大前提として、自宅の前の道路に都市ガスの導管が来ていることが必要です。来ていなければ、そもそも都市ガス化はできません。
【手順1 都市ガス会社を選び見積もりを依頼する】まず供給エリア内かを確認し、契約したい都市ガス会社に連絡して見積もりを依頼します。
見積もりでは引き込み工事費・ガス器具の対応可否(プロパン用は都市ガスで使えないことが多い)まで確認します。器具の買い替えが必要かどうかで、総額が大きく変わります。
【手順2 契約締結と工事日程の調整】見積もりに納得したら契約を締結し、引き込み工事の日程を調整します。ガスが一時的に使えない時間帯が出るため、生活に支障の少ない日を選びます。
【手順3 プロパンガス会社の解約と引き込み工事】都市ガス側の工事と並行して、現在のプロパン会社の解約手続きを行います。プロパンの場合は自分で解約連絡が必要です。
ここで気をつけたいのが、プロパン会社の解約時に「設備の残債(過去に無償設置された給湯器などの未償却分)」を請求されるケース。契約書を見て、解約時の精算条件を必ず確認してください。引き込み工事が終わり、開栓立ち会いが済めば都市ガス化は完了です。
【工事費用・初期費用の相場感】正直に言うと、ここは断定できる公的な相場値がありません。導管からの距離・敷地状況・器具交換の有無で金額が大きく動くためです。
だからこそ、複数社から見積もりを取って比べるのが唯一の正解です。私は「料金の安さ」だけでなく「工事内訳をきちんと書面で出してくれるか」で会社を選びました。
ガス会社・料金プランの比較と選び方

比較で見るべきは料金表・特典・電気とのセット割引の3点です。料金の差は地域・使用量で変わるため、必ず自分の使用量で試算してから判断します。
【料金表・特典・電気とのセット割引で比較する】基本料金と従量料金の両方を見ます。電気もまとめると割引が効く会社が多く、ガス単体より光熱費トータルで下がることがあります。
| 比較項目 | チェックする内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 月額の固定部分 | 使用量が少ない家ほど効いてくる |
| 従量料金 | 1㎥あたりの単価 | 冬の使用量増で差が開く |
| セット割 | 電気とまとめた割引額 | 電気の現プランより本当に得か |
| 特典・違約金 | 加入特典と解約金 | 縛り期間と解約条件 |
| 支払い・ポイント | 支払い方法と還元 | 還元率と利用先 |
【プロパンガスの料金が高い理由と適正価格の見極め方】プロパンが高くなりやすいのは、自由料金で会社ごとに価格差が大きいうえ、配送・設備費が上乗せされているためです。同じ地域でも会社で単価が倍近く違うことすらあります。
適正価格を見極めるには、近隣の相場や他社見積もりと比べるしかありません。「うちだけ高いのでは」と感じたら、まず2〜3社に相見積もりを取ってください。
【季節別・使用量別の最適プランの選び方】冬に使用量が跳ねる家は従量単価の低いプラン、年間を通して少ない家は基本料金の安いプランが合います。シャワー中心の単身世帯と、湯船+床暖房の家庭では正解が変わります。
【新ガス会社の信頼性・倒産リスクの見極め方】料金の安さだけで飛びつくのは私は勧めません。万一その会社が撤退・倒産しても、ガス供給自体は最終保障的な仕組みで止まらないものの、契約のやり直しは手間です。
事業の継続年数、電気・ガスを長く扱っている実績、問い合わせ窓口がきちんと繋がるか。この3点を申し込み前にチェックすると失敗が減ります。
乗り換えのデメリットと失敗を防ぐ注意点
乗り換えにはメリットだけでなく注意点もあります。正直、安さに目が行きがちですが、つまずくのはたいてい「営業」と「契約条件」の部分です。

【供給品質・サポート体制・保安体制の違い】ガスそのものの品質や、地震など緊急時の保安は導管事業者が担うため、会社を替えても安全面が落ちるわけではありません。ここは安心していい部分です。
一方で、問い合わせ窓口の繋がりやすさやトラブル対応のスピードは会社差が出ます。料金が安い分、サポートが薄い会社もあるので、口コミで対応評判も見ておくと安心です。
【強引な営業・二重契約・解約トラブルの事例と対処法】訪問や電話で「今すぐ切り替えないと損」と急かされたら、いったん持ち帰ってください。その場でお客さま番号を渡すのは危険です。
| トラブル | 起きやすい場面 | 対処法 |
|---|---|---|
| 強引な営業 | 訪問・電話勧誘 | 即決せず書面で確認・持ち帰る |
| 二重契約 | 複数社に申し込んでしまう | 申込状況をメールで管理する |
| 解約トラブル | プロパンの設備残債請求 | 契約書の精算条件を事前確認 |
| 想定より安くならない | 使用量の見積もり違い | 年間使用量で再シミュレーション |
【乗り換えをやめたほうがいい人・向いている人】向いているのは、検針票を見て使用量を把握でき、年間で比較できる人。とくに冬のガス使用量が多い戸建ては効果が出やすいです。
逆に、建物一括契約の集合住宅に住む人や、現プランの解約金が大きい人は、急いで替えると損をしかねません。私の意見では、まずシミュレーションで「年間いくら下がるか」を出し、解約金を引いてもプラスになる人だけが動けば十分です。
ガスの乗り換えに関するよくある質問
よくある質問
まずは検針票を1枚手元に出してみてください。お客さま番号と使用量さえ分かれば、今日のうちにシミュレーションまで進められます。動くかどうかは、年間の節約額を見てから決めれば遅くありません。
